
長年ケースとかかわっていると、その変化に「すごい」と思うことがある。
今年の誕生日で65歳になる男性。
もともと、釜ヶ崎(西成)で行われている高齢者特別清掃事業(特掃)に登録していた。
かかわりの最初は、ちょっと広めの場所にテントを張って猫を飼いながら、
釜ヶ崎の元日雇労働者を対象とした、登録制で輪番の、
1日5700円受け取ることができる清掃事業(特掃)に来ていた。
輪番は当時月5,6回まわっていたので、約3万円の収入で一か月を過ごしていた。
特掃に来ていたときは、いつも赤ら顔で、指導員からの指示が通りにくく
仕事が終わったらお酒を飲む姿がみられ、明らかにお酒の治療が必要だと思われた。
また、同時期、大阪市内のホームレスのところに行き相談事業をしている
巡回相談のスタッフから、彼がテントを張っているところ撤去がかかるかもしれない
という話をきいて、野宿から抜けるために、かかわりをもっていることがわかった。
本人と、巡回相談の地域担当スタッフと精神担当のスタッフ、

で話をして、
お酒のことも含め、野宿から抜けるために入院しましょうということで話がすすんだ。
入院先は、いつもお世話になっている精神科のドクターがいる病院。
病院に連れて行ったりの段取りは、巡回相談がして、いざ入院。
入院した病院には、他にも入院患者がいたので、

もお見舞いにいった。
お酒がきれて、状態が安定して、退院先に、巡回相談グループが施設入所を勧め、
当時の主治医も了承して、大阪から遠い救護施設に入所することになった。
ただ、彼の場合はそこでおわらない。
一時して、巡回相談員から、彼が施設を出て行方不明だと。
彼、ちょっと物忘れがあり、大阪からすごく遠くで、もしかしたら
どこかで行き倒れになるのではないかと不安になった。
その4日後、特掃の事務所にお昼過ぎ顔をだしている彼を発見!!
大急ぎで、巡回相談員に連絡。彼を迎えに来てもらった。
実は彼の飲んでいる薬の中に、癲癇をとめる薬が入っていたので、

大騒ぎ。
ちょうどその日が金曜日で、今日病院で薬をもらわないと週末どうしようもない。
で、入院のときに診てもらった主治医が外来でやっている病院に
役所に無理行って医療券をお願いして受診してもらった。
そのとき、巡回相談員のおっちゃんが、「たいしたことなくてよかったやん」と
さらっと言ったのに対して、「何かあったら、どないすんねん」と怒ったのを覚えている。
そして、彼はサポーティブハウスで生活、アルコール専門病院分院に通院することに。
その後、いつ部屋にお邪魔しても物が増えないので、
また誰かと話をする機会を増やしたいなということでヘルパーを利用するようになり、
分院が廃業することで、別の精神科の病院に通院先を変えたり、いろいろあったが、
いつも一週間に一回決まったお金しかとりにこなかったのが
「電子レンジ買いたいからお金をだして」とはじめていった。
ヘルパーが購入するのではなく、本人が物を買いたいといったことに「お~っ」。
さらに今日は、「天王寺に映画を見に行くから、お小遣い」と。
明日、「何の映画みたの?」と聞いてみようと思います。
う~ん、野宿してお酒飲んでいた頃からは想像もつかない、生活。。。
私たちにしたら、当たり前のことかもしれないけど、
それができないくらい、アルコールに浸らざるをえない野宿生活は苦しいものです。
うれしいです。
最初かかわりだしてから、4年。
お酒をやめ続け、いろいろな人たちがかかわって、ちょっとした変化が見えてきます。