ひとりでなくてふたり。

親子とか夫婦など、たいていの場合は、共依存になっている場合が多く
別々の世帯に分けて支援をすることが多い。
それぞれの課題に加え、一緒にいることによるマイナス部分は相乗効果で膨らむ。
だから、あえて、夫婦など引き離す場合もあるが、
それは嫌だ…と相談を中断する場合も少なくない。
それぞれが、しっかりしないと、共倒れになることが多いから、あえてその道を選ぶ。
ただ、最近相談を受けた夫婦は全く違うケースだった。
もともと、夫は自営で商売をしていたが、それがうまくいかず、
3年前に、すでに事業としてはどうしようもない状態になっていたのに
そこに夫の父まで参加、なかなか、その商売との踏ん切りがつかない状態だった。
夫の苦境を、妻はパートの仕事につき月7万円の収入を得、
景気の良かった頃に貯めていた貯金を少しずつ崩し、
夫からもらったブランドのバックを売ったり、なんとか生活していた。
事業でうまくいかずつくった債務の整理をすると言って2年も何もすすまず、
もう、その日の食事も苦しくなって、親に食べ物をもらうような状態になっても
夫の「事業」に対する、執着はとれなかった。
夫もストレスで、もともとガリガリだったのに、さらに10キロ近く痩せて、
誰が見ても、病気じゃないのかと心配する状態になっていた。
弁護士のところに、夫婦と一緒に同席して、この数か月の収支、
3年間夫の収入がほぼなかったことをきいて、頭の中で【ぶちっ】て音がした。
それからは、夫に対して「いつまで、うまくいかない事業にしがみついているの。
その間、奥さん、どんな思いで一緒に生活したと思うか考えたことある。
少しでも稼がないと生活できないでしょ。」と厳しく話をする場面があった。
「来月の家賃が支払えない状態なら、一度生活保護の申請をしましょう。
そして、債務の整理をしっかりして、できることをやりましょう。」
この弁護士の言葉を受け、夫婦別々に聞き取りを後日行った。
別々で聞き取りを行うなかで、相手に対する思いや、
これからどうしていこうと思っているかという話を、時間をかけて行う中で、
二人で一緒に頑張ってもらおうと思える部分がそれぞれにあった。
また、この間、夫には仕事を少しでもみつけるように、
奥さんには、今働いている仕事ともう一つ仕事を探してみましょうと言いました。
夫は「面と向かってはよう言えないけど、苦労をかけた。
少しでも収入につながる仕事、身体を動かす仕事見つけてきたんですわ」と
全身筋肉痛の状態できた。
奥さんは「(夫は)ほとんど食事をとれず、食べたもの吐いてるんです。心配です。」
といいながら、自分の仕事の探し方を具体的にどうしようという相談もされた。
お互いを思いながら、自分のできることをしていかないと、
それぞれが言葉で確認してないけど、お互いがわかってるという感じで
これが≪夫婦≫なんだと、すごく深く思いました。
夫にも奥さんにも、相手にその気持ちいいなよと言ったのですが、
お互いが「どうしても言えません」と同じ返事をいただき、≪夫婦≫だなと。
生活保護申請に弁護士も一緒に行きました。
その後、夫からも奥さんからもそれぞれ電話がかかってきます。
夫は、生活保護の制度でわからないことを、
奥さんは、夫の仕事の回数が増えたこと、自分も仕事が見つかったことなどを。
弁護士に状況を報告したところ
『体調のこともあるので、二人に頑張りすぎないでと伝えて』と。
40代の夫婦ですが、事業の債務の自己破産をして
その頃には、生活保護をこえる収入を得て、生活保護から卒業していると思います。
私、お尻あおいかもしれませんが、
一人では大変だけど、二人ですから という言葉が耳に残っています。