なかま。

今回紹介させてもらった事例は、かかわった時点で、すでにアルコールの専門治療には繋がっていた。ただ、一か月断酒を継続することができず、お正月前に、かかわっていた人から、「お正月期間、病院も休みになるので、なんとかお正月をのりきるためにかかわってほしい」といのが、生活支援を頼まれたきっかけだった。
お正月は、毎日事務所に来て、抗酒剤を服薬、食事も一緒に買いに行くという態勢でなんとかしのいだ。「しのいだ」という表現がすごくぴったりくる感じなのだが、激しい飲酒欲求とケースはお正月一人でたたかっていた。
ただ、無理した生活はそうそう続くわけではなく、お正月期間があけて、断酒1か月せず再飲酒してしまった。飲酒してしまうと、お金がある限り飲酒が続き、飲酒した状態で「断酒できない」と泣いている状況を動画でとりメールに添付するようなこともあった。そして飲酒すると、今まで体験した辛いことを思い出し、それを忘れるためにさらに飲酒、飲んでいる自分が嫌になりさらに飲酒、という負の連鎖から抜け出すことがなかなかできなかった。飲酒している状態で事務所に来て、事務所の外で酔いがさめるまで寒い中一緒にいることもあった。
結局、飲酒して事件を起こしてしまい、今はお酒の飲めない環境にはある。
本人は『お酒をやめなければいけない』と思ってはいるけど、どうしたらいいのか。。。
その会議では、このケースにかかわっていた病院の相談員(MSW)も来ていた。そのMSWから、「AA(アルコホーリクス・アノニマス:無名のアルコール依存症者たち)に参加したとき、『自分が飲酒してきた期間お酒をやめている人の話をきいた』と言って1か月くらいAAに通ったことがある」ときいた。
また、その会議に参加している当事者の人からも、自分の体験をもとに、本人がやめる気持ちが必要であること、やめ続けている仲間が必要ではないかという話をきいた。 そうだよな…。
会議が終わってから、その当事者の人から、今度AAの資料を持ってきますよと。昨日電話があって、今日持ってきてくれた。まず、自分が読んで、それからケースにも送ってみようと思う。AAの資料の中には当事者の体験を書いた手作り冊子もある。自分と同じ苦しみを抱え、お酒をやめている人の文章が、ケースのどこかに、ひっかかってくれたらと思う。